Written by Yuki Takemori

【無料】背中を叩いても気合は入れても入らない【→なでて背骨を下げる】

ライフ 立ち方

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『足半バイブル』について
読み込めていませんでした。すみません。
「こんな姿勢から何を生み出せるんだろう」
という姿勢の「気をつけ」は、そのとおりで何も生み出さない姿勢でした。
そこで、背中を活かしながら全身を動かすにはどうすればよいかの考察します。

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背中を叩いても気合は入れても入らない【→なでて背骨を下げる】

参考:骨ストレッチ【公式】

背中の緊張を取ると腕を回しやすくなる。

「こんな姿勢から何を生み出せるんだろう」

という姿勢の「気をつけ」は、そのとおりで何も生み出さない姿勢である。なぜならば

「気をつけ」は、規律に従ったり自らをコントロールしたりする姿勢の基本として、どの国の軍隊の教育の中でも徹底的に身体に叩きこまれます。つまり自発的な集中というよりは、強いられる緊張・集中の身構えといっていいでしょう。
※引用:日々の整体,p29

どこで読んだのかは忘れたが、明治期に導入されたドイツ式の直立不動は、頸椎と後頭部にある関節しか動かさないようになるため、文字通り部下を「あごで指図する」ための姿勢であるのだという。

たしかにあごの先だけで人に指図して自分は動かないのであるから、物を生み出すどころか、その下あごを突き出し上から見下ろすそのポーズでは机や作業台もろくに見えないであろう。

ゆえに、「こんな姿勢」である「気をつけ」からは何も生み出せない。

背筋は伸びるのではなく、下げた「結果立つ」もの

背筋を伸ばす=反らす

師匠によると、胸を張り、背中を反らせるのは間違い。(中略)「あれは明治時代からのこと」。ドイツ式の直立不動の「気をつけ」が、いろんな分野に導入されたらしい。
※引用:古武術で毎日がラクラク!,p36

私見であるが、これはヨーロッパの治水に関係があると思う。今でこそ上下水道が整備されているが、セーヌ川やライン川から離れたヨーロッパの内陸部の町は、飲み水も含めた生活用水をマッターホルンよろしくの標高ウン千メートルから水道管を引かなければ手に入らないことが普通で、水道橋どころか、水源近くの水道が一か所、10cmでも破断しようものならそこを収める王侯貴族から町民、奴隷の立場にある人まで平等に干上がることを意味した。

ということは、草原や砂漠で暮らしている人のように水を大切に使うためにできるだけ汚れないように立つことが中心の生活にしてきたことが、路地の石畳で、バレエの5番ポジションで喉から脚が生えているように、真秀足のようにひざを伸ばすほうが歩きやすいことも含めて簡単に想像がつく。

欧米の人は「動きの焦点」が、頸椎七番というところにあるそうです。(中略)欧米人が年を取ると、腰が曲がるというよりも、この頸椎七番が盛り上がるような感じになってきます。
※引用:古武術に学ぶ 子どものこころとからだの育て方,p145

それを起こそうとすると背筋を頸から反らすことで伸ばすことになり、それが欧米人の身体に合って、政府と軍隊が合わせたのであると想像することができる。

日本では明治を経て昭和一桁以来それが普通になった現在、

後ろから見ると首がない人がいる(笑)。首が前に垂れていてね、和服だと襟がポンと上がっているでしょう。後ろから見ると首がないんですよね。前に行くと首があるんです。ちゃんと。首が曲がっているんですね。
※引用:古武術の発見,p87

という老人が特に都市部では多い。

「気をつけ」なくても背中に力は入る

骨盤の前傾からの「仙骨・胸骨・後頭部」の引き上げが背中を反らす

骨盤の真ん中、お尻の割れ目の上にある肉が少ない硬い部分の仙骨を引き上げると骨盤は前に傾き、胸骨は、仙骨からその上にある背骨、胸の肋骨でつながる連動によって斜め上に向いて引き上がる。

そのことによって胸骨から左右に出る鎖骨が横に広がることで後ろと下に下がり、その先の背中側で鎖骨につく肩甲骨が背骨に寄りながら下に下がる。

それが前傾した骨盤と合わせて背骨を潰すように背中を反ることで、背筋を伸ばすことなく仙骨を土台にして積み木を積み上げるように背骨を立てることができる。

これで腰を反ることなく背中の筋肉に力が入る。

背骨を下げると重心が下がる

参考:骨ストレッチ【公式】

背骨を下げるとその下にある仙骨が押し下げられるように後ろに傾く。

その上にある背骨のひとつひとつが開き、釣り竿がカーブするように背中全体で曲がる。

すると、両端の出っ張りである腸骨と前のデリケートゾーンにあたる恥骨が後ろに傾く。

連動した胸骨も下に下がることで、あばらが前に傾く

そのことによって、腹筋の上だけではなく、ヘソ下の腹筋とわき腹筋を主体的に力が入る。

「下げる→上げる」の手順でバランスが取れる

まず、背骨を下げることで重心を鎮めるように押し下げる。

腹筋に力が入ったまま、仙骨を引き上げることで腹筋と背筋が、伸びながら力が入る「遠心性収縮」の状態になってお互いに引っ張り合うことで、胸を押し込めて背中を丸めたり、骨盤を突き出して腰だけを反らしてお腹をポッコリと出すような「逃げ」がなくなり、腹筋と背筋の引っ張り合いで背骨を下から積み上げることで立てることになるのである。

これが肩甲骨の

  • 前に出る(外転):背骨に寄る(内転)
  • 上に上がる(挙上):下に下がる(下制)

になり、

  • 耳の後ろを後ろに下げる→後頭部の引き上げ
  • 上を向く動きに背中が参加する→背中の引き下げ

による背中の上下の引っ張り合いになることで、肩をいからせずに胸を自然にスーッと落とすことができる。

そのことによって、体幹を肋骨の下を花瓶の上に、骨盤の上をその下に見立てることで、重心を押し下げて安定させた体幹を下から持ち上げることができる。

「気をつけ」るふりができる立ち方【ターンアウト】

参考:岡田慎一郎の古武術介護と身体の使い方研究室

上記のとおり「気をつけ」の姿勢は背中が起きる。それは規律でコントロールするための手段であるのだが、それ以上に、自分で自分をコントロールすることができるようようにすることが目的である。

姿勢を正し、背中を起こすことは「立たないとヤバい」と生存本能に訴えかけることであり、その瞬間の勢いが体力を呼び起こし、パニックから回復するために動き続けることになるのである。

やり方

  • 1.土踏まずを前に向けるようにかかとを前に出す
  • 2.親指と小指をつないで付け根を向かい合わせる
  • 3.そのまま手の平を前に向けながら下に下げる

「気をつけ」との違い

体幹をあばらの下から押し下げることで、足は前後から同時に床を押すことになる。

その結果、かかとから親趾の付け根へ土踏まずを、趾先を伸ばしたまま貼りつける内回りの力が床を押し、同時にアーチが床をつかむ動きが内側のアーチを持ち上げて、親趾と付け根を安定させ、足裏全体に体重がかかりながら、すねに体重が落ちる内側重心になることで下半身の安定になる。

そこにふくらはぎから丸ごとアキレス腱を伸ばす意識で絞り下げることでかかとを下からすくい上げ、かかとを趾のようにして床をつかむ動きがそれを助ける。

さらにアーチによる持ち上げは「花瓶に見立てた体幹」を底から持ち上げることになり、仙骨からの背中の引き上げになるのである。

そのことによって、上下に張った股関節が重心を内側に下げ、小趾への体重の偏りからの骨盤を後傾させながら前に突き出して腰だけを反り、肩を上げて詰めることをなくすのである。

かかとをつけてすくい上げ、趾の付け根、特に母趾球をかぶせ込む動きが足の前後で同時に地面を押すことが足の安定になる。

バレリーナの立ち姿で肩や胸が落ちていても背中が広がって見えるのはそのためである。

足の中趾とひざの向きをそろえて正面に向けて

立ってもよろしい。

応用例

ものを拾う

物を拾うときにターンアウトが応用できる。

片方の足を斜め後ろに下げることで、かかとを前に出すことでつま先を開き、ひざをねじることなく股関節を開くことができる。

そのことによって、腹で腰を曲げるのではなく、お尻のしわを伸ばすように股関節から曲げることで腰を痛めることなく前に屈むことができる。

深くしゃがむ

「ヤンキー座り」ともいう。

  • 1.広く足を広げて、かかとを前に出す
  • 2.手を前に出してバランスを取りながら腰を下ろす
  • 3.仙骨を引き下げる

草むしりの動き

「古武術式膝行」ともいう。

  • 1.「ヤンキー座り」から、立てておきたい方のひざの側の骨盤を後ろに引く
  • 2.立て膝になり、その骨盤を後ろに引いた状態のまま立てているひざのほうに上半身から頭を前に倒す
  • 3.ついているひざのほうの骨盤を後ろに下げてひざを立てる
  • 4.繰り返して前に進む

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