Written by Yuki Takemori

WTの立ち方はかかとに体重が落ちることで真価を発揮する

ライフ 立ち方

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WTの立ち方は
✅かかとに体重を落とす
とその真価を発揮する。
膝と中趾の向きをそろえてかかとに体重を落とすと、趾が寄ることでアーチが持ち上がり、すねの内側に体重が落ちる。
足裏にかかる体重の偏りをなくすことが本当の立つことといえる。

WTの立ち方はかかとに体重が落ちることで真価を発揮する

WTの立ち方

骨ストレッチでは、

  • 1.足の中趾を縦の線に
  • 2.内外の両くるぶしを横の線にして
  • 3.それを逆さまにした「T」のようにして立つ

「WTの立ち方」というものがあります。

この立ち方の特徴は、

ひざのお皿と中趾の向きがそろう

ことで、つま先を横に向けることによる足首とひざのねじれをなくして、ブレによるバランスの悪さとケガを防ぐ立ち方です。

スポーツ選手だけでなく、日常生活では台所に立ったりと足が前後になったり開いたりすることのほうが多いので、足の位置に合わせて「T」の位置を動かしても問題ありません。

使えない場合はどうするの?

とはいえ、試合の真っただ中などダブルTシートをいつでも持ち歩くわけにはいかない。そこで、構えなどでつま先を開くときは

土踏まずを前に向けるようにかかとを前に出す

とよろしい。

これならば、ひざをねじることなく股関節から足を開くことができ、つま先を開いた状態でも中趾の向きがそろったままになるので、正面を向けたときと同じく膝がブレずに安心です。

回転などで内側に向けるときはこの逆。

つま先を正面に向けて起きること

わらじやぞうりは履くとつま先が開く理由

鼻緒がついた履物を履くとつま先が開く、その理由は鼻緒をはさむために趾を寄せる筋肉が小趾とかかとの外側に向かって収縮するためであり、かかとから動くことで、つま先、ひざ、股関節が向きをそろえたまま同時に開くことに、股関節を開くことは骨盤を後ろに開くことが合わさり、それらが連動してかかとを前に出すようにしてつま先が開く。

幕末から明治期、そして現在での祝典で和服を着たときに男性が、座っていても立っていてもつま先を開いているのはそのためです。

つま先を開くことによる利点

参考:PTタイガー@FootBiomechanics

かかとからつま先を開くと脚が外に回る。すると、骨盤が後ろに傾いて体重が後ろにいくことに合わさって重心がかかとにかかって、体重をかかとに落とすことになる。

一度足を宙に浮かせてから足を内側に回すと、回しきれなくなったところを境に足首の関節である距骨が、足の甲の骨のつなぎ目が

  • 下:踵骨→かかとの骨
  • 前:舟状骨→足の甲の内側、足首の近く

と、かかとから見て下から上に、外から内への斜めの向きにつくことで、内に反すときはつま先を内側に向けながら足裏を自分に向けるのです。

一方足に体重をかけたまますねを外に回そうとすると、足は固定されている状態で内に反そうとするので、距骨はすねに連なって外に回る(外旋)。このとき浮かせているときと同じくかかとと小趾の付け根を内に反すのですが、着けたまま反そうとすることで、まず距骨の前を持ち上げることで反る。

すると足の甲の内側で足首の近くの舟状骨から内側のアーチを持ち上げます。

反りによる持ち上げと同時に距骨がかかと側に、外に出ることで(外転)、小指を巻き取るようにまず小趾の付け根が、そして距骨の下にあるかかとが内反しになり、アーチの後ろ側を持ち上げます。

これが親趾側のつけ根が土踏まずでボールをつかむように真ん中に寄る理由です。

内返しによるアーチを持ち上げは親趾の付け根を押し下げることになります。これを体重をかけて固定したままですると、押し下げによって母趾球に体重が乗り、母趾頭とともに安定した内側重心になるのです。

これは同時に親趾の付け根を内側にある筋肉の向きに従って外に反すことでもあります。外に反す動きが鼻緒をはさむ動きで親趾の付け根を小趾の付け根に寄せます。

この趾を寄せるはたらきが鼻緒をはさむことであり、逆にいえば鼻緒をはさむことが趾を寄せて内側のアーチを高く持ち上げることであるのです。

高く持ち上げた内側のアーチが体重を押し返す力になり、つま先を横に向けて開くこととは違い、土踏まずを無理矢理後ろに巻き上げ、足の外側に体重を偏らせることがなくなり、後ろに倒れないために肩を引き上げて詰めることがなくなるのです。

まとめ

  • 鼻緒のついた履物:趾を寄せる→脚を外に回す
  • 脚を外に回す:骨盤を後ろに開く→かかとに重心が移る
  • かかとに体重を落として外に回す:固定して内返し→内側重心+趾が寄る

中趾とひざのお皿の向きを揃えた上でやる

「昔の日本人はひざを曲げて立っていた」という言葉の意味

つま先が正面に向くと自然と曲がる

鼻緒がついた履物は履くだけで、鼻緒をはさむその動きからつま先が自然に開く。

とはいえ、そのまま歩こうとすると、後ろにふんぞり返った胴体を前に運ぶために腕を振って、わきをねじることになります。着物であればすぐにはだけてしまい、立ち合いどころか日常生活も成り立たないことでしょう。

それだけではなく、骨盤を後ろに傾けたまま歩くと、かかとから親趾の付け根へとダイレクトに土踏まずを潰し、母趾球で蹴ることによって偏平足や外反母趾の原因になります。

注:かかりつけの医師の診断を最優先にせよ

そこで、つま先を正面に向けます。上記のとおり、

足の中趾とひざのお皿の向きをそろえて正面に向ける

と、WTの立ち方と同じく骨組みを活かして立つことができるようになります。

つま先を正面に向けることは、

  • かかとを前に出す:つま先を開く→外側ハムストリングスでひざを曲げる
  • つま先を後ろに下げる:つま先を閉じる→内側ハムストリングスでひざを曲げる

こと、両方でひざを曲げることであるので、がに股や内股にならなくても自然にバランスよくひざが曲がります。

ひざの曲がり=足裏への接触圧力の均等

WTの立ち方からかかとに体重を乗せるとたしかに足の趾が寄り内側重心になるのですが、同時に膝が伸びて突っ張るという欠点もあります。

そこで、ハムストリングスに任せてひざを軽く曲げます。これでひざの突っ張りがなくなると同時に、親趾の付け根にかかっていた体重が小趾側に移ることで

足裏にかかる接触圧力を均等にすることができ

趾の先からかかとまでの全体で床に足をつけることができるのです。

"普通の伸ばす"は「反らしすぎ」

反張膝と過伸展

現在、少なくない高齢者が膝を痛めているのは、膝を伸ばすという日本人にとっての新しい習慣が要因の一つのように思えてなりません。
※引用:古武術に学ぶ こころとからだの育てかた,p144

とあります。

とはいえ、日本人でもプロのバレリーナであったり、専心良治などの専門家の指導を受けたり、チャコットなどを参考にしている人はそうはなりません。

多分ですが、ひざを押し込んで突っ張ることを「ひざを伸ばす」ことであるという誤解に気づかずにひざを伸ばしすぎていることが原因であると思う。

そこにしゃがんだまま野良仕事をしてきた人間とは違い、かかとから動いたり、股関節中心の動きのために骨盤を動かしたりという素地がなく、また1分でも上記のような勉強や実践がないまま中学校の軍隊ごっこのような号令の動きを「最低限形になればいい」とガワだけ取り繕うようにその人自身が形骸化させて実践した結果がそれなのであると思う。

反張膝と過伸展はケガの原因であるので一切しないことが良いが、どうしてか「普通こうやろ!」といって、「反らしすぎ」が"普通にひざを伸ばす"ことの常識になっています。

参考

» チャコット

» 専心良治

"かぶせ込み"と"すくい上げ"の同時性が「ひざを立てる」

本当に膝が伸びたときは「関節が立つ」

すねの内側に体重を落とすことは、実は「伸ばす」と「軽く曲げる」を同時にできる。

股関節の前から見て後ろになる坐骨から股関節、ひざ、足首、かかとをすくい上げる動きになることでかかとと母趾球を地面に押す。

とはいえ、すくい上げる動きは力が前に返ることでひざの突っ張りや前かがみになる。そこで、同時に「すくい上げたまま」股関節の前からかぶせ込むことで「返り」をなくし、ひざを伸ばすことができるのです。

本当の意味でひざが伸びているときは、前後の筋肉がひざの関節を引っ張り合うことでひざを曲げながらも反らしている状態になることであると思います。

かかとに下げた体重が体幹の引き上げになる

重心を下げるからこそ背中が広がりを持つ

かかとを下げることで足にある内側のアーチが持ち上がり、体重を押し返す力になります。その押し返す力が、

あばらの下から骨盤の上にある横の出っ張りまでの体幹を花瓶に見立てて、底から持ち上げる

ようにすることで、

  • 仙骨
  • 胸骨
  • 後頭部

を上に向けてななめ前に引き上げることで肩を下げて背筋を伸ばすでも反らすでもない「積み立てる」状態にすることができ、胸をスーッと落としながらも、肩を上げて詰めずに背中に広がりと力強さを持たせることができます。

あばらの下からかかとへ押し下げながら、すねの内側を押し上げて骨盤の上から体幹を持ち上げることが背中をはじめとする本当の体幹の力になる。

参考

» 【第46回】「なにを?どこへ?どのように?」の意識

有料コーナー

ここからは、

参考資料

参考:専心良治

記事編

» バレエで土踏まずを持ち上げるってどこのこと?

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